お葬式の豆知識葬儀、法事、終活など様々な疑問に対する解決策や
マナーについてのお役立ち情報をお届けします。
家族葬で香典返しに添える挨拶状とは|例文やマナーをご紹介
皆さんの中には、葬儀をあげる際に家族葬の形式を選びたいと考えている方も多いのではないでしょうか?家族葬の場合でも、香典をいただいた方には香典返しを送ります。また、香典返しには挨拶状を添えるのがマナーです。
本記事では、家族葬で香典返しに添える挨拶状の書き方を解説します。例文や気を付けたいポイントもお伝えしますので、香典をいただいた皆さんに挨拶状を書く際の参考にしてください。
\ お葬式の事が気になりはじめたら /
目次
一般葬と家族葬の違い
本題に入る前に、まずは一般葬と家族葬の違いについて解説します。一般葬は故人の知人や友人、近所の方や同僚など、多くの参列者が集まって故人を弔う葬儀形式を指します。一方の家族葬は家族や親族など、故人とごく親しい間柄の人物のみが参列する葬儀形式です。
家族葬は一般葬と比べると参列者数が少なく、葬儀の規模を小さくできるのが特徴です。葬儀にかかる費用も抑えやすいため、金銭面に余裕がない場合でも選びやすいとされています。多くの参列者に対応しなければならない一般葬では遺族に負担がかかりがちですが、家族葬では故人との最後の時間をゆっくりと過ごせる点もメリットに挙げられます。
一般葬と家族葬の違いについては下記の記事でも詳しく解説しております。 家族葬と一般葬の違いは?どんな人に向いている? |
家族葬でも香典をいただいたらお返しが必要
家族葬をあげる場合でも、香典をいただいた方にはお返しとして香典返しを贈るのが礼儀です。香典返しは一般葬に限るものではなく、お葬式で参列者からいただいた香典に対するお返しのことを指すためです。
香典返しには無事に家族葬を終えられたことを報告する意味や、故人が生前お世話になったことへのお礼を伝える意味も込められています。そのため、家族葬だったとしても香典をいただいた方には必ず香典返しを贈りましょう。
地域の習慣によっては、香典をいただいた当日にお返しを渡すこともあり、これは「即返し」や「当日返し(即日返し)」などと呼ばれます。いただいた香典の金額はその場でわからないため、即返しでは全員に一律の価格の品をお渡しし、高額の香典をいただいた方には後日改めて香典返しを贈ります。
家族葬の香典返しについては下記の記事でも詳しく解説しております。 家族葬での香典返しはどうすればいい?ケース別の対応を詳しく解説 |
家族葬での香典返しに添える挨拶状の例文
続いて、家族葬での香典返しに添える挨拶文の例文をご紹介します。一般的に香典返しは忌明けのタイミングに合わせて贈るため、それまでに挨拶状も用意しましょう。挨拶状の内容は宗教・宗派によって内容が異なるため注意しましょう。
仏式の場合
謹啓 ご尊家 御清祥のことと お喜び申し上げます 先般 亡母 △△儀 死去に際しましては ご丁寧なお心遣いを賜りまして 厚く御礼申し上げます おかげさまで この度 ○○* 四十九日法要を 無事に営むことができました つきましては 感謝の気持ちを込めまして 供養の印のお品をお送りいたします ご受納下さいますよう お願い申し上げます 本来であれば 拝趨の上御礼申し上げるべきところではございますが まずは略儀ながら 書中をもって御礼の挨拶とさせていただきます 謹白 令和×年 ×月×日 喪主 □□ 親族一同 |
*○○には戒名を入れます。戒名を授かった際は、文中に必ず入れましょう。
神式の場合
謹啓 先般 亡父 △△の葬儀に際しましては ご丁寧なご厚志を賜りまして 誠にありがとうございました おかげを持ちまして ◇月◇日に五十日祭を滞りなく営みました つきましては 心ばかりではございますが 偲草の印といたしましてお品をお贈りいたします なにとぞご受納くださいますよう お願い申し上げます 本来であれば 拝眉のうえ御礼申し上げるのが本意ではありますが 略儀ながら 書中をもって御礼の挨拶とさせていただきます 謹白 令和×年 ×月×日 喪主 □□ 親族一同 |
神式の場合、故人が亡くなってから50日目に行われる五十日祭が忌明けのタイミングです。香典返しではなく偲草(しのびぐさ)と呼ばれます。偲草とは、故人に思いを馳せる気持ちに代えて品物をお渡しするとの意味がある言葉です。
キリスト教の場合
謹啓 皆様におかれましてはご清栄の事と存じます 先般 亡父 △△儀 *1 (昇天 or 召天)の際は ご多忙にもかかわらず ご会葬ならびに過分なるご厚意を賜りまして 誠にありがとうございました おかげさまをもちまして ◇月◇日に*2(追悼ミサ or 召天記念礼拝)を営むことができました つきましては 心ばかりではありますが 偲草の印として品をお送りいたします ご受納くださいますよう 宜しくお願い申し上げます 本来であれば 拝趨のうえ直接御礼申し上げるところではありますが 略儀ながら 書中をもちましてご挨拶とさせていただきます 謹白 令和×年 ×月×日 喪主 □□ 親族一同 |
*1 カトリックでは昇天、プロテスタントでは召天が用いられます。
*2 カトリックでは追悼ミサ、プロテスタントでは召天記念礼拝が用いられます。
挨拶状を書く際に気を付けたい注意点
続いて、挨拶状を書く際に気を付けたい点を解説します。知っておかないと相手に不快な思いをさせることがありますので、挨拶状を書く際は十分留意しましょう。
忌み言葉に注意
挨拶状を書く際は、忌み言葉を使わないよう気を付けましょう。忌み言葉とは「わざわざ」「みるみる」などの重ね言葉や、「死ぬ」「息絶える」などの死や不幸を直接連想させる言葉を指します。なお忌み言葉は、お葬式全体を通じてふさわしくないとされる言葉です。挨拶状を書くときだけでなく、通夜や葬儀の場面では使わないようにしましょう。
忌み言葉の例
不幸の繰り返しを連想させる重ね言葉 | みるみる、次々と、わざわざ、くれぐれも、いよいよ、重ね重ね、ますます、返す返す、つくづく、ときどき |
不幸が続くことを連想させる続き言葉 | 引き続き、重ねて、繰り返し、何度も、続いて、追って、次に、また、再び |
直接的に死を連想させる言葉 | 急死、死亡、死ぬ、息絶える、生きていたころ |
辛いことや不吉を連想させる言葉 | 大変な、忙しい、四(=死)、九(=苦)、苦労の多い、苦しい |
季節の挨拶は不要
香典返しの挨拶状には季節の挨拶は必要ありません。通常、季節感を表現するために用いられる季節の挨拶には、手紙を受け取る相手の安否を気遣う意味があります。そのため、香典返しに添える挨拶状には使いません。
なお「謹啓」と「謹白」、「拝啓」と「敬具」といった頭語・結語は使用しても問題ありませんが、必ず2つセットで用いるようにしましょう。
長すぎず端的な文章に留める
挨拶状の内容はできるだけ簡潔に、長文にならないよう心がけましょう。お世話になった方に、挨拶状を通していろいろとお礼を伝えたくなるかもしれませんが、1枚に収まる長さに留めるのが基本です。
2枚以上になってしまうと、重ね言葉などと同じように不幸が重なるとの意味に捉えられるため、気を付けてください。話したい内容がたくさんある場合は、別途直接会って話す機会を設けるといいでしょう。
句読点を使わない
挨拶状を書く際は「、」や「。」といった句読点を使わないのが正式な書き方とされています。
句読点を使わない理由には諸説あり、主な筆記用具が毛筆だった昔の日本では句読点が使われていなかったことや、句読点を使って文章を区切ることが「縁を途切れさせること」を意味するといったことが理由として挙げられます。
挨拶状を書く際は、句読点を使う代わりに空白をいれて文章を区切りましょう。
よくある質問
ここまで家族葬での香典返しに添える挨拶状について、例文や知っておきたいマナーを解説しました。最後に皆さんからよくお問い合わせいただく質問に回答します。
香典返しにはどのようなものが適切?
香典返しの品には、形が残らず使いきれる消耗品を選ぶのが一般的です。これには「不幸や悲しみがずっと残らないように」との意味が込められています。具体的な品を挙げると、コーヒーやお茶、お菓子や海苔といった食品や、洗剤や石鹸の詰合せ、タオルといった日用品などが定番です。
なお、いくら食べ物が消耗品といえども、殺生を連想させる肉類や魚類は香典返しの品にふさわしくありません。かつお節や昆布、お酒といった結婚式の引き出物などおめでたいことを連想させる品物も控えた方が無難です。近年では特定の品物を決めずに、受け取った側が好みの品物を選択できるカタログギフトを香典返しとして贈るケースも増えています。
お返しを辞退された場合、挨拶状はどうすればよい?
香典を渡してくださった方の中には、遺族の負担に配慮して香典返しを辞退される方もいらっしゃいます。このようなケースでは、香典返しとしての品は贈らず挨拶状だけ送付しましょう。
香典返しを辞退された方への挨拶状例文
謹啓 皆さまにおかれましては お健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます 先般 亡母△△儀の葬儀に際しまして ご多忙にもかかわらずご会葬を賜り また丁重なるご厚志を賜りまして 心より深く感謝申し上げます おかげをもちまして ×月×日に四十九日の法要を終えました 生前のご厚情に改めて感謝申し上げます 本来であれば 拝眉の上 直接御礼申し上げるべきところではありますが 失礼ながら 書中をもちましての挨拶とさせていただきます 謹白 令和×年 ×月×日 喪主 □□ 親族一同 |
香典返しはいつ送る?
香典返しは忌明けから1カ月以内を目安に送ります。各宗教によってタイミングは異なり、一般的に仏教では「四十九日法要」、神道では「五十日祭(ごじゅうにちさい)」が忌明けです。
キリスト教には忌明けの概念はありませんが、日本での慣習に従いカトリックでは「追悼ミサ」、プロテスタントでは「昇天記念日」を忌明けに相当する区切りとして香典返しを送ります。
家族葬では挨拶状を添えた香典返しを贈って感謝を伝えよう
本記事では、家族葬での香典返しに添える挨拶状をテーマに、例文や知っておきたいマナーをお伝えしました。家族葬といえど、香典をいただいた方にはお返しが必要です。礼節をふまえたお礼状を添えて香典返しを準備し、皆さんへ感謝の気持ちを伝えましょう。