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お通夜の親族の服装マナーは?お葬式との違いや一般客との違いを解説
お葬式にきちんとした喪服を着ていくのは一般的な常識として定着していますが、お通夜で何を着ればいいのかにはさまざまな意見があります。親族の場合、一般の弔問客と同じ服装でかまわないのかも迷うところでしょう。
本記事では、お通夜とお葬式の服装は変えなければならないのか、親族と一般参列者の服装は違うのかについて詳しく解説します。ぜひ、親族としてお通夜に参列する際の参考にしてください。
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目次
葬送儀礼におけるお通夜の位置づけ
もともとお通夜は急遽執り行われることが多かったので、正式な喪服を着て参列するのはかえって失礼にあたるという風潮がありました。まるで亡くなるのを予期して、前もって準備していたかのように思われるという考えです。かつては、亡くなった当日にお通夜が行われていたことも関係しています。
しかし現代ではたいていの場合、お通夜は亡くなった次の日以降に行われるケースが多くなり、喪服を準備する時間的余裕が生まれました。
本来のお通夜は、亡くなった人があの世へ旅立つための最初の儀式として、近親者のみが集まっていました。しかし現代では葬儀・告別式が日中行われるのに対し、お通夜は夕方から始まるため、仕事で告別式に参列できない人が多数お通夜に参列する傾向があります。
喪服を準備する時間的余裕が生まれ、参列者も増えてお葬式と同等の規模になったことから、お通夜で喪服を着てもマナー違反ではないという考えが主流になってきました。
親族と遺族の定義
親族がお通夜でどのような服装にすればいいのかを考える前に、親族と遺族はどう違うのかについて考えてみましょう。
親族の定義
法律的には「親族」は民法第725条で明確に定義されています。六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族が親族です。血族とは血縁関係のある人(養親子を含む)のことで、姻族とは血族の配偶者と配偶者の血族を意味します。たとえば本人から見て、お兄さんは血族ですが、お兄さんの奥さんは姻族にあたります。
六親等というのは相当広い範囲といえます。祖父母のいとこや、はとこ(またいとこ)、いとこの孫までが六親等です。親族とよく似た言葉に「親せき」がありますが、ほぼ同義と考えてよいでしょう。
遺族の定義
「遺族」は辞書で一般的に「人が死んだあとに残された家族・親族」と定義されています。この定義では親族はすべて遺族になります。
一方、法的には法律の種類によってその範囲は多少異なりますが、主に「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」の二親等までを遺族としています。
一般的な考えとしては、三親等程度までが遺族として認識されているようです。三親等とは、叔父・叔母と甥・姪の関係です。いとこ同士は四親等にあたります。
同じ親族であっても、めったに会ったことのない両親のいとこと祖父母や叔父・叔母では葬儀に臨む立場は異なります。
遺族という場合は、親族の中でも葬儀を主催する葬家の意味合いが強くなると理解してかまわないでしょう。
親族がお通夜で着る服装を選ぶ際には、故人・喪主との血縁関係の近さも考慮しなければなりません。
お通夜で親族が着る服装についての考え方
お通夜で親族が何を着るかに関しては、故人や喪主との血縁関係の近さとともに葬儀の規模や格式にも配慮する必要があります。
親族でも立場によって服装は異なる
最も重要なポイントは、どのような立場で葬儀に臨むのかということです。
親族といえども、ひとくくりにはできません。故人や喪主と非常に近い血縁関係の人と遠い親せきでは立場が違います。
葬儀を主催する葬家の立場であればより格式の高い服装がふさわしいでしょうし、そうでなければ一般の弔問客と同じような服装でも問題ありません。
葬儀の規模も服装を決めるうえで重要なポイントです。血縁者以外はほとんど参列しない小規模の家族葬であれば、遠い親せきはどちらかといえばもてなされる側になります。
しかし会社関係者など多くの人が参列する大規模な葬儀の場合は、多少遠い親せきであっても遺族の一員との位置づけになります。一般参列者からお悔やみを言われる可能性もあるかもしれません。
大規模で格式の高いお通夜・お葬式では、よりきちんとした服装を選ぶことも検討しましょう。
お通夜で親族が着る服装は準喪服が主流
お通夜で親族がどのような服装にするかは、故人との関係の近さや葬儀の規模を考慮する必要があります。とはいえ、お葬式・お通夜を問わず、親族であっても一般の参列者であっても準喪服(略礼服)を着れば問題ないでしょう。
現代では喪主や遺族といえども正喪服を着るケースはあまり見られません。お通夜で喪服を着るのはマナー違反という考えも減りつつあります。
「平服で参列してください」との案内があれば、略喪服と呼ばれるダークカラーのスーツなどを着用してください。喪服の種類や平服については、次の項で説明します。
喪服の種類と基本マナー
喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3つの格式があります。それぞれの定義やマナーについて、人によって多少の違いがありますが、ここでは一般的な考え方を紹介します。
正喪服
最も格式の高い喪服が正喪服です。洋装の場合、男性はモーニングコート、女性はブラックフォーマルなどが正喪服に該当します。女性の正喪服は、かつてはイブニングドレスやモーニングドレスでしたが、現代ではあまり着用されません。
和装の正喪服は、男性では五つ紋の羽織袴、女性も同様に五つ紋の入った黒無地の着物です。洋装よりも和装の方が格上とされていますが、最近では和装の喪服はほとんど見られなくなりました。
正喪服は喪主や遺族が着用するもので、一般客が着るとかえってマナー違反になります。
準喪服
準喪服は正喪服の次に格の高い喪服です。男女ともにブラックフォーマルが準喪服に相当します。「略礼服」として市販されているものが準喪服で、単に「喪服」という場合は準喪服を意味すると考えて差し支えありません。
和装の場合、男性では三つ紋または一つ紋の入った黒以外の寒色系の色紋付が準喪服に相当します。女性が着る和装の準喪服は、やはり男性の場合と同様、三つ紋か一つ紋の入った地味な色無地の着物です。ただし正喪服以上に、準喪服として和服を着るケースはめったに見られなくなりました。
略喪服
男性の場合は黒・濃紺などのダークカラーのスーツ、女性の場合もダークカラーのワンピースやスーツが主な略喪服です。ダークカラーであっても光沢のある素材は葬儀にふさわしくないので避ける方が無難です。
葬儀の案内で「平服でお越しください」と言われたときの平服は、略喪服のことです。決して普段着ではないので注意しましょう。
お通夜での親族の服装マナー
お通夜までは平服でかまわない
お通夜が始まるまでの間も、喪主や遺族はさまざまな打ち合わせや、場合によっては弔問客や宗教者への対応などをしなければなりません。この間の服装は平服でも大丈夫です。あまり派手でない装いを心がけましょう。
男性親族の服装マナー
最近では、男性親族はお通夜でも準喪服を着るケースが多くなりました。
ほとんどの場合、いわゆる略礼服と呼ばれるブラックフォーマルで問題ありません。黒のスーツに白のワイシャツ、黒色のネクタイ・靴・靴下を合わせましょう。
女性親族の服装マナー
女性親族も男性と同様で、準喪服を着用するケースがほとんどです。
女性の準喪服はいくつかのバリエーションがあります。スーツ・ワンピース・アンサンブルのブラックフォーマルが準喪服に該当します。
バッグ・靴・ストッキングも黒で揃えましょう。ただし、ストッキングはあまり濃いものではなく薄手の方が良いとされています。うっすらと肌が透ける程度の30デニール以下がおすすめです。靴は高いヒールのものは避けましょう。パンプスなどが無難です。
子どもの親族の服装マナー
子どもの場合、制服が第一礼装です。大人ほど厳密なマナーは要求されないので、親族であっても一般の参列者であっても制服で問題ありません。もし制服がなければ、濃紺やチャコールグレーなどのダークカラーのジャケットやズボン、スカートに白のシャツを組み合わせればよいでしょう。
小物・アクセサリーのマナー
仏式の葬儀であれば数珠が必要です。数珠は貸し借りをすると縁起が悪いと言われているので自前のものを用意しましょう。香典を渡す場合は袱紗に包んで持参します。バッグも基本的には黒色で光沢のない素材を選びましょう。ハンカチは黒または白が基本です。
アクセサリー類はなるべくつけないのがマナーです。結婚指輪以外の指輪、ネックレス、イヤリングなどは事前にはずしておきましょう。ただし、真珠は涙の形を表しているとされるので弔事でも着用してかまいません。
葬儀の場にふさわしいアクセサリーについては、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。 意外に知らない?葬儀の服装に合わせるアクセサリーのマナーを解説 |
身だしなみのマナー
お通夜は故人の死を悼みご遺族に弔意を伝える場です。清潔感のあるスッキリとした身だしなみを心がけましょう。髪型はなるべくまとめるのが無難です。メイクはナチュラルメイクを心がけてください。
女性の服装や髪型、メイクについては以下の記事も参考にしてください。 葬儀での女性の服装マナーは?髪型やメイクについても詳しく解説 |
親族がお通夜で着用する服装は準喪服が基本
お通夜で親族が着る服装は、略礼服ともいわれる準喪服が一般的です。
ただし親族の中でも故人に近い三親等以内で、葬儀の規模が大規模となるような場合は正喪服の着用も検討しましょう。逆に故人との血縁関係がそれほど近くなく、お通夜の案内で「平服で」と言われた場合は、地味な色のスーツなどでも問題ありません。
お葬式のマナーは時代とともに変化しつつあります。家族葬が増えてマナーも簡略化される傾向にありますが、遺族にも一般の参列者にも失礼のないように、基本的なマナーを理解してお通夜に臨みましょう。