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葬儀日程の決め方や亡くなってからの流れや注意点、友引を避ける理由
家族が亡くなり葬儀を営むにあたって、日程をどのように組めばよいか悩むご遺族の皆さんも多いはずです。葬儀会場をどこにするか、葬儀の参列者を何名招くのかに加え、葬儀の日取りも慎重に決定する必要があります。お葬式の日取りは、斎場の空き状況や遠方から参列する方々の事情を考慮して調整が必要です。
本記事では、各ご家庭の事情に合わせて葬儀日程を定めるポイント、注意すべき点などを解説します。
\ お葬式の事が気になりはじめたら /
目次
一般的な葬儀の日程の決め方
「故人が亡くなったら〇日以内に葬儀を行わなければいけない」といった葬儀日程に関する法律はありません。仏式のお葬式の場合は、おおむね亡くなった当日に営まれる「仮通夜」、翌日の「本通夜」、翌々日の「葬儀・告別式」という手順で執り行われます。
病院で亡くなった場合には、ご家族の臨終に立ち会った後、医師から死亡診断書を発行してもらいます。病院側からご遺体の処置(エンゼルケア)を施してもらい、3時間程度は病院の安置室で安置が可能です。その間に遺族は葬儀社へ連絡を取ります。
そして、まず最初にご遺体を自宅へ搬送するのか、葬儀社の用意した葬儀場の安置室で安置してもらうのかを葬儀社のスタッフと相談します。遺体の安置後、葬儀社と打ち合わせを行い、葬儀の大まかなスケジュールを決めます。速やかに親戚へ電話で訃報を伝え、連絡がつかない場合はメールなどを送信しましょう。
葬儀の日程は、葬儀社のスタッフ主導で、遺族の都合・宗教者の都合・斎場や火葬場の空き状況を確認しながら決めていきます。葬儀社のスタッフから葬儀当日の具体的なタイムスケジュールが伝えられたら、故人の友人や知人へ訃報および葬儀日程を連絡します。
日程 | 内容 |
亡くなった当日 | 病院から自宅などへ搬送・仮通夜 |
翌日(1日目) | 納棺・通夜式 |
翌々日(2日目) | (1)葬儀・告別式 ※葬儀前に火葬する地域もある(前火葬) (2)出棺・火葬 (3)収骨 |
葬儀の流れについては以下の記事で詳しく解説しております。 葬儀の流れ12ステップ│日程・時間の組み方からマナーや注意点まで |
葬儀の日程を決める際のポイント・注意点
葬儀の準備は日程調整はもちろんですが、式場の選定、葬儀プランや祭壇、納棺・出棺、参列者の焼香やお坊さんの読経、喪主の挨拶や火葬後の精進落としの段取り、葬儀費用の見積り、供花や香典返しの手配など、決めておくべき事柄は数多くあります。
最初に火葬場と宗教者の日程を押さえる
ご逝去された季節や気温・ご遺体の状態によっては、何日も安置することが難しい場合があります。そのようなケースの場合には、なるべく最短で火葬できるよう配慮する必要があります。葬儀日程を決める際は、まず火葬場を予約し火葬日程が確定してから、それに合わせて葬儀・告別式の日程を決めましょう。
火葬場は年末年始以外ならいつでも利用可能な施設が多いものの、各施設で決まっている定休日、焼却炉のメンテナンスや予約の集中により、ご遺族の希望日に火葬ができない可能性もあります。
なお、火葬の手続きには火葬許可証が必要なので、忘れずに準備しておきましょう。市区町村役場の受付で死亡届と死亡診断書を提出すれば、火葬許可証が発行されます。この手続きは葬儀社が代行してくれる場合もあります。
その他、注意すべき点として火葬場の予約と同時に宗教者と予定をすり合わせることも大切です。宗教者を葬儀会場へ招いて読経してもらったり、菩提寺で葬儀を行ったりする場合、宗教者のスケジュールに余裕があるかどうかも考慮しなければいけません。
葬儀社へ葬儀を依頼すれば、火葬場の予約や手続きの代行、宗教者との調整も行ってくれてスムーズな対応が期待できます。
もしも、火葬の日時が決まらず、葬儀の予定も立てられない場合は「エンバーミング」という処置を検討しましょう。エンバーミングは遺体を保存処理し、必要に応じて修復も行い長期保存する技術です。葬儀社に相談すれば、エンバーミングの専門事業者を紹介してくれる場合があります。
友引の日を考慮する
日本では古来「六曜」という考え方が根づいており、毎日の縁起の良し悪しを占います。先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6種類があります。
仏教では葬儀当日、六曜のどれかに当たると不吉な事態が起きるという考え方はありません。しかし、葬儀の日が友引だと「友を連れて行く」という意味を連想させてしまいます。そのため友引は凶日と考えられるようになりました。迷信ではあるものの、友引に葬儀・告別式は避ける傾向があります。
葬儀・告別式が友引に当たる場合、日程を1日遅らせるのが一般的です。ただし、葬儀会場や火葬施設では友引に当たる日も利用可能な場合が多いです。なお、仏滅の日に葬儀・告別式を行っても問題はないと言われています。
葬儀の場所や時間帯は参列者の状況を加味して決める
葬儀を行う場所によっては、参列者が何時間もかけて車や電車で向かうケースも想定されます。
葬儀場の選定や葬儀の時間帯も慎重に決めましょう。葬儀の参列者が親族ばかりなら、町はずれの菩提寺などで葬儀をしても、土地勘があるので葬儀へ間に合わないという可能性は少ないでしょう。
しかし、故人の知人や友人を招いて葬儀を執り行う場合は、葬儀場にはじめて向かう方々も多く、道に迷うおそれがあります。このような事情を考慮し、なるべく駅から近い斎場や、大通りに面していて車での移動が楽な葬儀場を選ぶと良いでしょう。
複数の葬儀場の資料請求を行い、それぞれの設備はもちろん立地や環境などを把握し、比較検討しながら候補を絞りこむのが理想の方法です。ただし、時間的な余裕がなければ、葬儀社と相談し最も妥当な斎場を速やかに選び出しましょう。
また、火葬前に葬儀などをしたいならば、火葬場の予約にあたって朝の早い時間や夕方の遅い時間を選ばないようにしましょう。なぜなら、予約した火葬の日時に影響されて、葬儀や告別式の開始時間が早すぎたり遅すぎたりするケースも想定されるからです。これでは参列者が日程を合わせづらくなります。
葬儀の形式によって日程の決め方は異なる
従来のように家族や親戚、付き合いのある友人・知人を招き営まれる一般葬は、参列者も多くなります。そのため、参列者の都合がつきやすい土曜日または日曜日を葬儀・告別式に決めることもあるでしょう。
一方、家族や親戚のような少数者で営む家族葬ならば、日程調整を一般葬より柔軟に行えて、参列者の都合が合えば平日でも日程を組めるはずです。
現在では葬儀スタイルも多様に変化しています。例えば通夜式を行わず葬儀・告別式・火葬式を1日で済ませる「一日葬」、火葬式のみしか行わない「直葬」、宗教色を抑えたお別れ会とも呼ばれる「無宗教葬」が人気となっています。
これら従来の形式とは異なる葬儀スタイルを希望する場合も、葬儀社に相談すれば、無理のない日程を組んで対応してもらえるはずです。
葬儀の日程に関してよくある質問
葬儀に関する知識もあまりない場合、地域の風習・作法で日程の決め方は変わるのか、葬儀後の法事法要の日程はどうすればよいのか、悩まれている方々は多いはずです。こちらでは、葬儀日程に関する質問について回答します。
宗教者の都合が葬儀日程と合わないときの対処はどのようにすべきですか?
宗教者側の都合で葬儀日程にどうしても合わせられない事態も想定されます。その場合は日程を1日または2日ほどずらして調整しましょう。
ただし、自分たちの希望する日程で葬儀をしないと近親者が参列できないなど、やむを得ない事情があるならば、同宗派の他寺院の宗教者を紹介してもらい対応する方法もあります。菩提寺がある場合は基本的には菩提寺の住職に読経をしてもらうという方針で日程調整をするのが良いでしょう。
地域の風習によって日程の決め方は変わりますか?
基本的には、火葬日によって葬儀・告別式の日を確認・調整するのが一般的です。しかし、地域によっては「後火葬(あとかそう)」の風習、「前火葬(まえかそう)」の風習が強く残っている場合もあります。主に後火葬は北海道、関東、関西、九州、前火葬は東北、沖縄が多いと言われていますが、同じ県内でも違いがみられることがあります。
後火葬は通夜、葬儀・告別式の後に火葬という流れです。一方、前火葬は葬儀・告別式の前に火葬をする方法です。前火葬の場合は遺骨を骨壺に納めた状態で祭壇へ飾り、葬儀などが執り行われます。
例えば前火葬の場合ならば、火葬はご遺族だけで早朝に行い昼間から葬儀を行えば、参列者も余裕をもって式場に向かえるはずです。また、火葬は済んでいるので翌日以降に葬儀・告別式を設定しても、ご遺体が傷むリスクはないので、安心して日程が組めます。
後火葬の地域でも、葬儀のときの気温や天候でご遺体の安置に不安を感じたら、葬儀社へ事前相談すれば前火葬に対応してくれるはずです。逆に前火葬の風習のある地域でも、気温が安定していて、故人の安らかな顔をたくさんの参列者に見てもらいたいならば、後火葬にしても故人の供養となるでしょう。
初七日法要の日程はどのように決めるべきですか?
故人の命日に合わせて営まれるのが法事・法要です。中でも初七日法要は命日から数えて7日目に行われます。そのためご遺族や親戚は、初七日法要への参列が難しいケースも多いです。
また、四十九日法要(納骨式)まで二七日(ふたなのか)・三七日(みなのか)と細かく法要が続くため、全ての法要を営むのは大変でしょう。その場合は、四十九日法要までの法要を葬儀の際にまとめて行う方法もあります。宗教者にまとめて執り行いたい旨を告げれば対応してくれるはずです。
滞りの少ない葬儀日程を決めて、故人を気持ちよく送り出せる葬儀を
故人へ生前の感謝の言葉を伝え、心から悼み、迷いなく極楽浄土へ旅立ってもらうには、滞りなく式を進めていきたいものです。
故人や遺族・親族の希望をなるべく尊重する形で日程を調整し、ご遺族や参列者そして故人も心穏やかにお別れできる式を作り上げることが大切です。